有限会社 上田製作所
上田 健太
京都府京都市山科区
金属線材加工のプロ集団
上田製作所は、金属線材加工の曲げ、切断、研磨などを行っている会社です。
創業から50年以上。僕の祖父の代からやっています。
4世代同居の環境で育ったので、受け継ぐことが当たり前だった。
曾祖父母の代から続く会社で、僕が幼い頃から親族4世代で、一緒に暮らしていました。僕は長男でしたし、もうこのまま継ぐんやろうなぁと。思っていました。それに、自然豊かな地元、大原野が好きで、これまで受けた恩恵を返していきたいという思いもありました。
前職は人材系会社の採用業務に従事。その経験を家業で活かしたい。
2015年から2022年までの間は、東京の人材系の会社で派遣、採用業務に従事していました。その会社のビジョンが「はたらくを楽しもう」だったのですが、それを、家業で実現していきたいと思っています。人生の大半の時間を使うであろう「仕事」に対してのネガティブなイメージを減らすようにしていきたいですね。
創業50年以上の確かな品質と小ロットから量産まで対応できる柔軟性が強み
うちの工場では、金属「線材」の加工を専門にしています。主に、自動車のエンジン・トランスミッション部品を量産する仕事で、高い品質が求められる仕事なので、生産管理体制もしっかり整っています。町工場ならではですが、小ロットからの依頼も受けられる体制になっていますね。
自動車EV化と一社依存の売上体制が課題
当社で扱う主な部品の用途は、ほぼ100%が自動車のエンジン・トランスミッションに組み込まれる精密部品です。10年後には、大半の部品の生産量は、EV化の影響によって半減すると思います。50年来ずっと主要取引先である一社からの依頼で成り立ってきた会社なので、厚い信頼関係がある一方で、リスク分散が必要というのが課題ですね。
とは言っても、父に対しての自分の中の反発はすごくて、やっぱりきつかったから、バトンを受け取るまでは、正直やめようかなと思ったこともありました。
でも、会社も、職人さんたちも、社員みんなが好きだったし、何よりものづくりは好きだったから続けられたと思います。
ものづくりの魅力を発信していきたい
僕が家業を受け継いだからには、「はたらいていて楽しい会社」を実現したいと思っていますが、その一つとして、「ものづくりの魅力」をいろんな人に知ってもらえたらと考えています。
僕らがやっている町工場のものづくりは、一般の方からは見えない部分が本当に多くて、「実はこんなにこだわって丁寧に作ってんねんでー!」というのを伝えていきたいなぁと。それを一般の人にわかってもらえるというのも、楽しみの一つだと思いますし、そうすることで、じゃあ上田さんとこにお願いしよう。となる仕事が増えたらいいですよね。
とある靴職人さんとの出会いで、物への愛着心を知りました。
そう考えたきっかけが、とある靴職人さんとの出会いでした。その方のスニーカーを購入し、今も大切に履いています。作り手の顔と、こだわりの想いに触れたことで、そのスニーカーへの愛着は、他とはやっぱり違っていて、これから先も履きつぶれるまで大切に使っていきたいと思えました。このこだわりとか、どんなふうに製造しているのかを知ってもらうことが、今の僕たち(町工場)にも大切なんじゃないかなと。
魅力発信は子供達の世代にも
僕自身に子供ができたこともあって、この日本のものづくりの魅力を幼い世代の子達にも知ってもらいたいなと思って、子供が参加するようなイベントなどにも積極的に出店したりしています。実際には、カラビナとか、S字フックを作ってもらうような体験の場を儲けたりね。うちの工場の見学会なんかも開催しています。日本のものづくりは、高精度ですし、ひとつのものができるまでの背景や、どんな工夫をしているのか、そういったところを知ってもらって、ものを大切に使おうという気持ちにつながったらいいなと思って取り組んでいます。
このMULTI SOLOというブランドも、子供達へのものづくり体験イベントも僕らがこうやって発信をしていくことで、地元の地域の雇用にもつながって、地域が盛り上がっていってくれたら嬉しいなと思っています。
・つくるひとの情報・
会社名 | 有限会社 上田製作所 |
所在地 | 〒610-1131 京都府京都市西京区大原野上羽町8-1 |
設立 | 1969年 |
TEL | 075-331-3100 |
kyoto@yasudamodel.co.jp | |
公式サイト | https://ueda-works.com/ |